★FE-10 初めて外国人を採用する企業のチェックリスト

FE-10 初めて外国人を採用する企業のチェックリスト|外国人雇用実務ライブラリー
外国人雇用実務ライブラリー > 第1部 基礎編(FE-01~FE-10) > FE-10

FE-10 初めて外国人を採用する企業のチェックリスト

募集前から入社後まで。 外国人採用で企業が確認すべき事項を実務の順番で総点検します。

基準日:2026年9月29日
FE-10は、第1部「基礎編」の総まとめです。

FE-01からFE-09まで、 在留資格、就労可否、在留カード、 採用フロー、不法就労助長罪、 外国人雇用状況届出、労働法、 そして企業が負う責任を確認してきました。

ここでは、それらを 「初めて外国人を採用する企業が実際に使えるチェックリスト」 にまとめます。

外国人採用で最初に確認するのは、 「この人を採用したいか」だけではありません。

「この仕事を、この在留資格で適法に行うことができるか」

ここから確認を始めることが重要です。

1.外国人採用の全体フロー

STEP 1 業務内容を決める
STEP 2 在留資格・就労可否を確認
STEP 3 労働条件・契約を確認
STEP 4 入社・届出
STEP 5 入社後も継続管理
「採用 → 在留カード確認」ではなく、

業務内容 → 在留資格 → 就労可否 → 在留カード等の確認 → 労働条件 → 必要な在留手続 → 入社 → 届出 → 継続管理

という順序で考えると、 外国人雇用の全体像を整理しやすくなります。

2.STEP 1|まず「どんな仕事をしてもらうのか」を決める

外国人採用で最初に整理したいのは、 候補者の国籍ではなく、 実際に担当してもらう業務内容です。

□ 業務内容を具体化したか 「総合職」「事務職」などの名称だけではなく、 実際の職務内容を具体的に整理する。
□ 主たる業務を確認したか 日常的に何の業務に従事するのかを明確にする。
□ 配属先を確認したか 勤務場所・所属部署・指揮命令系統を確認する。
□ 将来の配置転換も想定したか 採用後に予定される異動・職務変更があれば、 在留資格との関係も検討する。
職種名だけで在留資格を判断しない。

在留資格との適合性は、 「営業」「通訳」「エンジニア」などの肩書だけではなく、 実際に従事する活動内容を基に確認することが重要です。

3.STEP 2|在留資格と就労可否を確認する

すでに日本に在留している外国人を採用する場合は、 在留カード等により、 在留資格、在留期限、就労制限等を確認します。

□ 在留資格 現在どの在留資格で日本に在留しているか確認する。
□ 在留期限 在留期間の満了日等を確認する。
□ 就労制限 在留カード等により就労制限の有無を確認する。
□ 資格外活動許可 留学・家族滞在等の場合は、 資格外活動許可の有無・内容を確認する。
□ 指定書 「特定活動」など、 指定書による確認が必要な場合は内容を確認する。
□ 業務との適合性 予定する仕事内容が現在の在留資格で認められる活動か確認する。
「在留カードを持っている=働ける」 ではありません。

在留資格によっては就労できない場合や、 就労できる業務の範囲が限定されている場合があります。

4.STEP 3|在留カード等を「券面+ICチップ+失効情報」で確認する

在留カードの確認は、 単にカードを見たりコピーを受け取ったりするだけで 終わらせないことが重要です。

まず券面上の在留資格、在留期限、就労制限等を確認し、 必要に応じて出入国在留管理庁が提供する 「在留カード等読取アプリケーション」 を活用してICチップ情報を読み取り、 さらに 在留カード等番号の失効情報照会 による有効性確認を組み合わせることで、 より確実な確認につながります。

① 券面確認 在留資格・期限・就労制限等
② ICチップ確認 読取アプリを活用
③ 失効情報確認 カード番号の有効性を照会
④ 就労可否判断 実際の業務との適合性を確認
  • 在留カードの氏名・在留資格等を確認した
  • 在留期間の満了日等を確認した
  • 就労制限の有無を確認した
  • 資格外活動許可が必要な場合は許可内容を確認した
  • 必要に応じて指定書等も確認した
  • 在留カード等読取アプリケーションを活用し、 ICチップの読み取りによる改ざん検証・発行元検証等を行った
  • 失効情報照会により、 在留カード等番号の有効性も確認した
実務では「券面を見るだけ」で終わらせず、 ICチップと失効情報も確認する運用を。

出入国在留管理庁の 「在留カード等読取アプリケーション」では、 在留カード等のICチップを読み取り、 改ざん検証・発行元検証等を行うことができます。

さらに、在留カード等番号の失効情報照会により、 カード番号の有効性を確認することができます。

企業の外国人採用実務では、
① 在留カード等読取アプリケーションによるICチップ確認
② 失効情報照会による在留カード等番号の有効性確認


までを確認フローに組み込むことで、 より確実な在留カード確認につながります。
ただし、確認結果だけで就労可否を判断しないでください。

在留カード等が有効であることと、 その外国人が自社で予定する仕事に適法に従事できることは別問題 です。

最終的には、 在留資格・就労制限・資格外活動許可・指定書等と 実際の業務内容を照らし合わせて判断します。
FE-04「在留カードの見方と確認方法」も参照してください。

2026年6月14日から在留カード等の様式が変更されています。 新様式では券面表示が変更されているため、 最新の確認方法を前提に運用してください。

5.STEP 4|「採用できる在留資格か」を最終確認する

在留カード等の有効性を確認することと、 予定する仕事に従事できるかどうかの判断は、 同じではありません。

身分・地位に基づく在留資格 「永住者」「日本人の配偶者等」 「永住者の配偶者等」「定住者」は、 入管法上、就労する職種について原則として制限がありません。
就労資格 「技術・人文知識・国際業務」などは、 予定する職務内容がその在留資格に該当するか確認します。
留学・家族滞在等 原則として就労できない在留資格では、 資格外活動許可等の確認が必要です。
特定活動 活動内容が一律ではないため、 指定書等による個別確認が重要です。

6.STEP 5|必要な在留手続を確認する

現在の在留資格では予定する業務に従事できない場合、 就労を開始する前に在留資格変更等の手続が必要となることがあります。

雇用契約を締結したことと、 その外国人が就労を開始できることは別問題です。
  • 現在の在留資格のまま就労できるか確認した
  • 在留資格変更許可申請が必要か確認した
  • 海外から呼び寄せる場合は在留資格認定証明書交付申請等を確認した
  • 必要な許可を得る前に就労を開始させない体制を整えた
実務ポイント

必要に応じて、 「適法に就労できる状態になったこと」を条件として 雇用契約の効力を発生させる 停止条件付き雇用契約 を検討する場面もあります。

7.STEP 6|労働条件を明確にする

外国人にも、日本人と同様に 労働関係法令が適用されます。

□ 業務内容 実際に担当する仕事を明確にした。
□ 勤務場所 就業場所・変更範囲等を確認した。
□ 賃金 基本給、手当、割増賃金等を明確にした。
□ 労働時間 始業・終業、休憩、休日等を明確にした。
□ 契約期間 有期・無期、更新条件等を確認した。
□ 社会保険等 雇用保険、健康保険、厚生年金等の適用を確認した。
重要なのは「書面を渡したか」だけではありません。

必要に応じて、 やさしい日本語、母国語、多言語資料、図解等を活用し、 主要な労働条件を本人が理解できるよう説明することも重要です。

8.STEP 7|入社直前にもう一度確認する

採用選考時の確認から実際の入社までに 一定期間が空くことがあります。

そのため、 就労開始直前の最終確認を 社内手続に組み込んでおくと安全です。

  • 在留資格に変更がないか
  • 在留期間の満了日等に問題がないか
  • 就労制限に変更がないか
  • 資格外活動許可等に変更がないか
  • 実際の配属先・業務内容が採用時の想定から変わっていないか
  • 必要な在留手続が完了しているか

9.STEP 8|外国人雇用状況届出を忘れない

対象となる外国人を雇い入れた場合、 事業主には 外国人雇用状況の届出 が必要です。

雇用保険の被保険者 雇用保険被保険者資格取得届等を通じて 外国人雇用状況を届け出ます。
雇用保険の被保険者でない外国人 外国人雇用状況届出書 (様式第3号)等により届け出ます。
外国人雇用状況届出と、 出入国在留管理庁への各種届出は別制度です。

「外国人関係の届出は全部同じ」と考えず、 誰が・どこへ・いつまでに届けるのかを 個別に確認してください。

10.STEP 9|入社後も在留資格を継続管理する

外国人雇用管理は、 入社した時点で終わりではありません。

□ 在留期限管理 在留期間の満了日等を管理し、 必要な更新手続を確認する。
□ 職務変更 配置転換・異動等の際は、 新しい業務が在留資格の範囲内か確認する。
□ 勤務時間 資格外活動等の時間制限がある場合は継続管理する。
□ 届出 本人・企業に必要な届出が発生していないか確認する。
採用時に適法だった = 退職するまで自動的に適法

ではありません。

職務内容、在留資格、在留期間等の変化を 継続的に管理することが重要です。

11.STEP 10|退職・離職時にも手続を確認する

外国人雇用は、 退職したら企業の実務が即座にすべて終了するわけではありません。

  • 外国人雇用状況の離職時届出を確認する
  • 雇用保険・社会保険等の資格喪失手続を確認する
  • 企業側に必要な入管関係の届出がないか確認する
  • 本人に必要となる届出等について必要に応じて案内する
  • 貸与品・社内情報・個人情報等の退職処理を行う

12.外国人を常時10人以上雇用する企業は確認

外国人雇用管理指針では、 外国人労働者を 常時10人以上雇用するときは、 外国人労働者の雇用管理改善等に関する事項等を管理させるため、 人事課長等を 「外国人労働者の雇用労務責任者」 として選任することとされています。

外国人従業員が増えてきた企業では、 「何人雇っているか」も管理項目に。

採用人数の増加に伴って、 外国人雇用管理の社内体制そのものを 見直すことが重要です。

13.社内で「外国人雇用管理台帳」を作る

外国人雇用を担当者個人の記憶に頼るのは危険です。

企業では、必要な個人情報の取扱いに配慮しながら、 外国人雇用管理に必要な情報を 社内で適切に管理する仕組みを検討しましょう。

管理項目 確認内容の例
在留資格 現在の在留資格
在留期限 在留期間の満了日等
就労制限 就労制限の有無
資格外活動 許可の有無・内容
担当業務 実際に従事している職務内容
カード確認 券面・ICチップ・失効情報等の確認記録
届出 外国人雇用状況届出等の実施日
確認記録 確認日・確認担当者・確認方法等
次回確認 在留期限前の再確認予定等
在留カードの写し等を保存する場合は、 個人情報として適切に管理してください。

確認記録は、 単にカードのコピーだけを保存するのではなく、 「いつ・誰が・どのような方法で確認したか」 も記録しておくと、 企業が必要な確認を行ったことを示す資料になり得ます。

14.初めて外国人を採用する企業|最終チェックリスト

  • 採用予定者に担当してもらう業務を具体的に整理した
  • 在留資格を確認した
  • 在留期間の満了日等を確認した
  • 就労制限の有無を確認した
  • 資格外活動許可・指定書等が必要な場合は確認した
  • 在留カード等読取アプリケーションによるICチップ確認と、 失効情報照会による在留カード等番号の有効性確認を行った
  • 予定する業務が在留資格の範囲内か確認した
  • 必要な在留資格変更等の手続を確認した
  • 労働条件を明確にした
  • 本人が理解できる方法で主要な労働条件を説明した
  • 最低賃金・労働時間等の労働法上のルールを確認した
  • 雇用保険・健康保険・厚生年金等の適用を確認した
  • 入社直前に在留状況を再確認した
  • 外国人雇用状況届出の方法・期限を確認した
  • 在留期限を継続管理する仕組みを作った
  • 配置転換・職務変更時に再確認する仕組みを作った
  • 退職・離職時の届出を確認する仕組みを作った
  • 外国人労働者を常時10人以上雇用する場合の管理体制を確認した
一つでも「分からない」があれば、 就労開始前に確認してください。

外国人雇用では、 「採用してから考える」よりも 「働き始める前に確認する」 ことが重要です。

15.第1部のまとめ|外国人雇用の土台をつくる

第1部では、 外国人雇用を始める企業が最初に知っておきたい 基本事項を10回に分けて確認してきました。

No. テーマ
FE-01 外国人雇用の全体像
FE-02 在留資格とは何か
FE-03 就労できる在留資格・できない在留資格
FE-04 在留カードの見方と確認方法
FE-05 外国人採用の基本フロー
FE-06 不法就労助長罪とは
FE-07 外国人雇用状況届出とは
FE-08 労働法は日本人と何が違うのか
FE-09 外国人雇用で企業が負う責任
FE-10 初めて外国人を採用する企業のチェックリスト
第1部「基礎編」FE-01~FE-10 完結 外国人雇用の基本から、 採用・確認・届出・継続管理までを整理しました。

ここまでが、外国人雇用実務の「土台」です。

次の第2部では、 在留資格ごとの就労範囲・要件・企業実務を、 より具体的に掘り下げていきます。

第2部の最初は、 FE-11「技術・人文知識・国際業務とは」 です。

16.主な法的根拠・公的確認先

基準日:2026年9月29日

本ページは、 出入国在留管理庁、厚生労働省、 関係法令、外国人雇用管理指針等の公表資料を基に、 初めて外国人を採用する企業が 確認すべき基本事項を実務の流れに沿って整理しています。

在留カード等のICチップ確認や失効情報照会は、 確認精度を高めるための重要な手段ですが、 それだけで予定する業務への就労可否まで 判断できるものではありません。

在留資格ごとに必要な要件・手続は異なります。 また、制度・様式・運用は改正される場合があります。

実際の採用・申請・届出時には、 その時点の最新の法令・運用・公的資料をご確認ください。
← 前回|FE-09「外国人雇用で企業が負う責任」 次回|FE-11「技術・人文知識・国際業務とは」 →