
2027年4月1日から、新たに「育成就労制度」が施行されます。
この制度は、これまで約30年間続いてきた「技能実習制度」に代わる、新しい外国人就労制度です。
しかし今、多くの企業や外国人の方から、こんな声を耳にします。
「育成就労って、技能実習と何が違うの?」
「特定技能とどうつながるの?」
「結局、日本は外国人を労働力として使いたいだけなのでは?」
こうした疑問が生まれるのは当然です。
なぜなら、この制度は単なる制度変更ではなく、日本社会が抱えてきた問題の“結果”として生まれた制度だからです。
技能実習制度は、何のために始まったのか
技能実習制度は、1993年に始まりました。
表向きの目的は「国際貢献」。
日本で技能を学び、それを母国に持ち帰って発展に役立ててもらう、という建前でした。
しかし現実には、日本国内の人手不足を補う手段として使われてきました。
建設
農業
介護
製造業
日本人の確保が難しい分野で、技能実習生は欠かせない存在になっていったのです。
ここで、制度の「建前」と「現実」にズレが生まれました。
技能実習制度が抱えていた“構造的な問題”
技能実習制度が長年続く中で、深刻な問題が次々と表面化しました。
転職が原則できない
賃金が低く、労働条件が悪い
パワハラ・人権侵害
失踪者の増加
特に大きな問題だったのは、「育成」と言いながら、実質は労働力として縛り付ける構造でした。
職場環境に問題があっても、簡単には職場を変えられない。
逃げ場のない制度は、外国人本人だけでなく、制度そのものへの不信感を生みました。
結果として、
日本の国際的評価の低下
「外国人を安く使う国」というイメージ
技能実習制度そのものの限界
が、誰の目にも明らかになっていったのです。
日本社会が直面している、もう一つの現実
一方で、日本は別の深刻な問題にも直面しています。
それが 労働力不足 です。
少子高齢化が進み、特に次の分野では人材不足が深刻です。
介護・福祉
建設・インフラ
農林水産業
地方の中小企業
「日本人だけで回す社会」は、もはや現実的ではありません。
これは外国人を受け入れるかどうかという価値観の問題ではなく、社会を維持できるかどうかの問題です。
育成就労制度が目指す方向性
こうした背景の中で生まれたのが、育成就労制度です。
この制度が目指しているのは、単なる名称変更ではありません。
搾取ではなく「育成」
縛り付けではなく「キャリア形成」
その場限りの労働力ではなく「制度としての人材育成」
外国人が日本で働きながら技能を身につけ、
将来的には特定技能など、次のステップへ進めるように設計されています。
つまり育成就労制度は、
技能実習の反省の上に立ち、
日本社会と外国人の双方が、長期的に成り立つ仕組みを作ろうとする制度
なのです。
制度を知ることは、未来を選ぶこと
育成就労制度は、外国人のためだけの制度ではありません。
企業のためだけの制度でもありません。
これは、
日本社会がこれからどう生き残っていくのか
を考える中で生まれた制度です。
だからこそ、
「制度が始まってから考える」のでは遅いのです。
次回予告
次回は、
「出入国在留管理制度の中で、育成就労制度はどこに位置づけられているのか」
を、在留資格全体のフレームから分かりやすく解説します。