こんにちは、TIBIです。

(誰にも相談できないワン・・・)
近年、外国人雇用は着実に拡大しています。
その一方で、実際の就労現場では、制度や業務内容だけでは捉えきれない課題も少なくありません。
今回は、JILPTディスカッションペーパー「外国人労働者の雇用・組織化の現状と課題―UAゼンセンアンケート調査の2次分析から―」を参考に、現場で生じている課題について整理します。
外国人雇用が広がるなか、現場では次のような声が見受けられます。
ここで注目すべきなのは、こうした課題が仕事そのものだけでなく、その周辺環境に大きく左右されているケースが多いという点です。
調査を読み進めると、外国人の方々が置かれている状況には、在留資格や就労形態によって一定の差があることがうかがえます。
たとえば、留学生のアルバイトや専門職として就労している方々は、比較的、職場の中で人とのつながりを持ちやすい環境にあると考えられます。
これに対し、技能実習や特定技能の方々については、相談相手や接点が限られやすく、外部の支援機関や同国人ネットワークに依存しやすい側面も見られます。
同じ職場に、困ったときに声をかけられる人がいるか。
必要な情報に無理なくアクセスできるか。
こうした違いが、働きやすさや定着のしやすさに少なからず影響しているものと思われます。
もう一つ見落とせないのが、組織とのつながりがあるかどうかという点です。
調査では、比較的安定して就労している層において、労働組合を含め、何らかの形で組織との接点を有している事例が見られます。
もちろん、それだけですべてを説明できるわけではありませんが、次のような要素の有無は、就労の安定にとって重要な意味を持つと考えられます。
一方で、技能実習や特定技能の在留資格により働く方々については、こうしたつながりを持ちにくい状況が生じやすいことも示唆されています。
その結果として、徐々に孤立が深まってしまうことも考えられます。
また、技能実習生については、日本語能力の向上支援や、日本人従業員との交流機会、意見を聞く場の設定などを会社に期待する傾向も見られます。
現在、外国人材の受入れ制度は大きな転換点にあります。
政府は、技能実習制度を発展的に解消し、新たに育成就労制度を創設する方針を示しており、令和9年4月からの施行が予定されています。制度の目的も、従来の枠組みから一歩進み、人材育成と人材確保の双方を見据えたものへと改められています。
だからこそ、今の段階で、現場にある課題を丁寧に見直す必要があります。
制度が変わっても、実際の職場で、
といった状態が続くのであれば、制度改正の効果は十分に発揮されません。
言い換えれば、育成就労への移行期にこそ、外国人材が安心して働き、定着できる環境を整えることが、日本の産業構造を実質的に支える前提になるのではないでしょうか。
今回の調査から見えてくるのは、外国人雇用における課題は、単に制度上の問題にとどまらず、「どのような環境で働いているか」によって大きく左右されるということです。
その環境には、
といった要素が含まれます。
制度の整備はもちろん重要です。
しかし、それとあわせて、受け入れる現場においても、相談しやすく、孤立を防ぎやすい職場環境を整えていくことが、今後ますます重要になるものと思われます。
そしてそれは、育成就労制度への移行を実りあるものとし、日本の産業を持続的に支えていくうえでも、欠かせない視点といえるのではないでしょうか。
(・JILPT Discussion Paper 26-06
「外国人労働者の雇用・組織化の現状と課題―UAゼンセンアンケート調査の2次分析から―」)
※本稿は一般的な情報提供を目的としたものであり、法的助言を行うものではありません。