第2回 受入企業の5つの責任と対象産業分野

「うちは受け入れできるのか?」 「何を準備しなければならないのか?」 受入企業が最初に確認すべきポイントを整理します。




育成就労制度実務ガイド 第2回


受入企業の5つの責任と対象産業分野




「うちは受け入れできるのか?」

「何を準備しなければならないのか?」


受入企業が最初に確認すべきポイントを整理します。


1.今回の掲載項目



◆ Aパート 受入企業の5つの責任

育成就労制度では、外国人材を受け入れる企業に対し、育成・支援・定着を見据えた受入体制の整備が求められます。



  • 育成就労計画に基づく受入体制

  • 適正な雇用・労務管理

  • 日本語教育・技能習得への支援

  • 生活支援・相談体制の整備

  • 人権保護・差別防止・トラブル予防



◆ Bパート 対象産業分野

ここでは、自社が育成就労制度の対象となるかを確認するための基本的な考え方を整理します。



  • 育成就労制度の対象分野の考え方

  • 特定技能制度との接続関係

  • 分野別運用方針・告示の確認

  • 自社事業が対象分野に該当するかの確認方法

  • 金融機関・監理支援機関が確認すべき視点


2.なぜ最初に確認すべきなのか


育成就労制度では、外国人材を受け入れる企業に対して、これまで以上に計画的な育成と適切な支援が求められます。


単に人材を採用するだけではなく、日本語教育や技能習得、生活支援、人権保護など、受入企業が果たすべき責任はこれまで以上に重要になります。


また、自社が育成就労制度の対象分野に該当するかどうかを確認することも、制度活用の第一歩です。


本ページでは、受入企業が押さえておくべき5つの責任と対象産業分野の考え方について、受入企業・金融機関・監理支援機関等の実務担当者の視点から整理します。


3.受入企業の5つの責任


育成就労制度は、単に人手不足を補うための制度ではなく、「人材育成」と「キャリア形成」を目的とした制度です。


そのため、受入企業には次のような責任が求められます。



① 育成就労計画に基づく受入体制

受入企業は、外国人材ごとに育成就労計画を作成し、その計画に基づいて育成を行うことが求められます。



  • 誰が指導を担当するのか

  • どのように技能を習得させるのか

  • どのように進捗管理を行うのか

実務上のポイント:育成計画は作成して終わりではありません。現場で計画どおりに実施されているかを継続的に確認することが重要です。



② 適正な雇用・労務管理

育成就労制度においても、日本人労働者と同様に労働関係法令の遵守が求められます。



  • 労働条件通知書の整備

  • 賃金支払い状況

  • 労働時間管理

  • 社会保険加入

  • 労働保険加入

実務上のポイント:外国人材受入れは入管法だけではなく、労働法令の遵守が前提です。



③ 日本語教育・技能習得への支援

育成就労制度の目的は、人材育成とキャリア形成です。将来的には特定技能制度への移行も想定されているため、技能評価試験や日本語試験への対応も重要になります。



  • 技能習得の遅れを防ぐ

  • コミュニケーション不足を防ぐ

  • 早期離職を防ぐ



④ 生活支援・相談体制の整備

外国人材が安心して働くためには、職場だけでなく生活面の支援も重要です。



  • 生活相談窓口の設置

  • 住居確保支援

  • 緊急時対応

  • 行政手続支援



⑤ 人権保護・差別防止・トラブル予防

育成就労制度では、外国人材の人権保護が重要なテーマとなっています。



  • ハラスメント防止体制

  • 相談窓口の整備

  • 不当な取扱いの防止

  • 苦情対応体制


4.立場別に見る実務上のポイント



受入企業の実務視点



  • 自社が対象分野に該当するか

  • 育成就労計画を実行できる人員・体制があるか

  • 日本語教育や技能評価試験への対応をどう行うか

  • 労務管理・生活支援・相談体制を整備できるか



金融機関の実務視点



  • 取引先企業が人材不足に直面しているか

  • 外国人材受入れが事業継続にどう影響するか

  • 教育費・人件費・管理費用が資金繰りに与える影響

  • 制度対応の遅れが経営リスクにならないか



監理支援機関の実務視点



  • 受入企業が制度を正しく理解しているか

  • 育成就労計画が現場で実行可能か

  • 相談・監査・転籍対応の体制を整備できるか

  • 継続的な支援体制を構築できるか


5.対象産業分野の考え方


育成就労制度は、特定技能制度との接続を前提として制度設計されています。


そのため、自社が制度の対象となるかどうかを確認する際には、単に業種名だけを見るのではなく、実際の業務内容や分野別運用方針・関係告示を確認する必要があります。


分野別運用方針の確認はこちら(出入国在留管理庁)



育成就労制度の対象分野や受入要件は、分野ごとに定められている
「分野別運用方針」に基づいて運用されます。



対象業務や受入条件、育成就労産業分野の範囲は今後も見直される可能性があるため、
必ず最新の一次資料を確認することをおすすめします。



▶ 出入国在留管理庁

特定技能制度・育成就労制度 分野別運用方針一覧


実務上のポイント
業種名だけで判断するのではなく、
実際に外国人材が従事する業務内容が対象業務に該当するかを確認することが重要です。


注意点:対象分野、業務区分、試験水準、上乗せ基準等は、今後の告示や運用要領の更新により変更される可能性があります。必ず最新の一次資料を確認することが重要です。


6.金融機関が確認したいポイント


金融機関にとって、育成就労制度は単なる外国人雇用の制度ではなく、取引先企業の人材確保・事業継続・資金繰りに関わるテーマです。



  • 外国人材受入れに伴う人件費・教育費の増加

  • 監理支援費用や住居整備費用の発生

  • 人材定着力が事業継続に与える影響

  • 制度対応の遅れによる操業リスク


信用金庫など地域金融機関にとっては、取引先企業の制度対応状況を把握することが、今後の経営支援にもつながります。


7.実務チェックリスト




  • 自社が対象産業分野に該当するか確認している

  • 育成就労計画の作成準備を進めている

  • 指導担当者・相談担当者を想定している

  • 日本語教育・技能評価試験への対応方針を検討している

  • 労務管理・社会保険・労働保険の整備状況を確認している

  • 生活支援や相談体制を整備できるか確認している

  • 金融機関・監理支援機関・専門家と早めに相談できる体制を作っている


8.関連リンクと次回予告


前回の記事:

第1回 制度概要と2027年施行へのタイムライン


全13回の予定:

育成就労制度実務ガイド 全13回連載ロードマップ


次回予告:

第3回では、育成就労計画の策定と認定基準について整理する予定です。



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