FE-01~FE-04では、外国人雇用の全体像、在留資格、
就労可否、在留カードの確認方法を整理しました。
FE-05では、それらを実際の採用業務につなげます。
外国人採用では、
「内定を出してから在留資格を確認する」のではなく、
募集する業務と在留資格の適合性を
採用プロセスの早い段階から確認する
ことが重要です。
1.まず全体像|外国人採用は7ステップで考える
STEP 1
業務内容・採用条件を決める
STEP 2
在留資格・就労可否を確認
STEP 3
募集・選考
STEP 4
労働条件を明示・契約
STEP 5
必要な在留手続を確認
STEP 6
入社時の最終確認
STEP 7
雇入れ後の届出・管理
ポイント:
外国人採用だけの「特別な採用手続」が
一つ存在するわけではありません。
通常の採用・労務手続に、
在留資格と就労可能性の確認、
必要な在留手続、
外国人雇用状況の届出等
が加わる、と考えると整理しやすくなります。
2.STEP 1|先に「誰を採るか」ではなく
「何をしてもらうか」を決める
在留資格の多くは、外国人本人の肩書だけではなく、
日本で実際に行う活動・業務内容
との関係で就労可否を判断します。
したがって、求人を出す前に仕事内容を
具体化しておくことが出発点です。
① 具体的な業務内容
日常的に担当する仕事、主たる業務、
付随業務を整理します。
② 就業場所
本社・店舗・工場・客先など、
実際に働く場所を確認します。
③ 雇用形態・契約期間
正社員、有期契約、パート等の条件を整理します。
④ 賃金・労働時間等
募集条件と実際の労働条件が
食い違わないよう整理します。
3.STEP 2|在留資格と「予定する仕事」が
合っているか確認する
採用候補者の在留資格名だけを見て
判断してはいけません。
FE-03・FE-04で整理したとおり、
在留資格、就労制限、資格外活動許可、
指定書等を確認し、
予定する業務に従事できるか
を判断します。
「在留カードがある=その会社で何でも働ける」
ではありません。
「技術・人文知識・国際業務」など
活動内容に範囲がある在留資格では、
予定する職務との適合性が重要です。
「特定活動」では、
指定書の確認が必要となる場合があります。
「留学」等で資格外活動許可により働く場合には、
許可範囲・時間制限等も確認します。
※身分・地位に基づく在留資格など、
活動内容に就労制限がない類型もあります。
個別判断は在留資格・許可内容に応じて行います。
4.STEP 3|募集・選考では
「外国人だから」ではなく業務との適合性を見る
募集時には、業務内容、賃金、労働時間、
就業場所、契約期間などの条件を明確にします。
採用では、在留資格上その業務に
従事できることを確認したうえで、
公平な採用選考を行うことが基本です。
求人票を曖昧にしない
「会社業務全般」だけでは、
在留資格との適合性を確認しにくくなります。
選考段階で確認する
在留資格・就労可否の確認を
内定後まで先送りしないことが重要です。
国外からの紹介にも注意
国外在住者のあっせんを受ける場合は、
適法な職業紹介事業者等であるかも確認します。
国籍による差別的取扱いを避ける
在留資格上必要となる確認と、
公平な採用選考は分けて考えます。
5.STEP 4|労働条件を
「本人が理解できる形」で明示する
外国人にも、労働基準法をはじめとする
労働関係法令が適用されます。
労働契約締結時には、
賃金、労働時間その他の労働条件を
法令に従って明示します。
実務上のポイント:
厚生労働省の外国人雇用管理指針では、
モデル労働条件通知書の活用や母国語等による説明など、
外国人労働者が理解できる方法で
労働条件を明示するよう努めることが示されています。
特に、賃金だけでなく、
税金・社会保険料等の控除、
休日・残業・勤務地・契約更新など、
後からトラブルになりやすい事項を
丁寧に説明することが重要です。
6.STEP 5|「採用決定=すぐ働ける」とは限らない
候補者の現在の在留資格と、
採用後に予定する活動が一致しない場合などには、
就労開始前に在留資格変更許可等の
手続が必要となることがあります。
国外から新たに呼び寄せる場合には、
在留資格認定証明書交付申請等が関係します。
重要:
必要な許可を受ける前に、
許可されていない活動を開始させないこと。
「内定日」「雇用契約日」「入社予定日」
「実際の就労開始日」
を区別してスケジュールを組みます。
【実務上のポイント|停止条件付き雇用契約】
在留資格認定証明書交付申請や
在留資格変更許可申請など、
就労に必要な在留手続の許可を前提とする場合には、
就労資格の取得を条件として
雇用契約が効力を有する
「停止条件付き雇用契約」
とする方法があります。
例えば、
「地方出入国在留管理局から
就労に係る許可を受けた日から有効とする」
といった条件を設ける方法が、
出入国在留管理庁のQ&Aでも示されています。
※必要となる在留手続は、
現在の在留資格、予定業務、本人の経歴、
国内在住・国外在住などによって異なります。
7.STEP 6|入社直前・入社日にもう一度確認する
選考時に確認していても、
入社までに在留期間更新等が行われることがあります。
入社時点の最新情報で再確認する
運用が重要です。
在留カード
在留資格、在留期間の満了日、
就労制限、資格外活動許可等を再確認します。
業務内容
求人・契約時に説明した業務と、
実際の配属・担当業務が一致しているか確認します。
労働条件
賃金、勤務時間、勤務地、
契約期間等を最終確認します。
社内手続
雇用保険、社会保険等について、
各制度の適用関係を確認します。
8.STEP 7|雇い入れた後にも「届出」がある
外国人を雇用する事業主には、原則として、
外国人の雇入れ・離職時に
氏名、在留資格等を確認し、
外国人雇用状況を届け出る義務
があります。
在留資格「外交」「公用」の方および
特別永住者は対象外です。
| 手続・確認 |
企業実務で見るポイント |
| 外国人雇用状況届出 |
外国人の雇入れ・離職時には、
事業主による届出が必要です。
【雇用保険の被保険者となる外国人】
・雇入れ:
雇入れ日の属する月の翌月10日まで
・離職:
離職日の翌日から起算して10日以内
【雇用保険の被保険者とならない外国人】
・雇入れ:
雇入れ日の属する月の翌月末日まで
・離職:
離職日の属する月の翌月末日まで
※在留資格「外交」「公用」の方および
特別永住者は、
外国人雇用状況届出の対象外です。
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雇用保険・社会保険
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国籍だけで判断せず、
それぞれの制度の適用要件に従って
加入手続を行います。
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外国人本人の届出
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対象となる在留資格では、
転職等に伴い、
外国人本人に出入国在留管理庁への
「所属機関に関する届出」が
必要となる場合があります。
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所属機関による届出
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一定の受入れ機関には、
出入国在留管理庁への届出制度があります。
外国人雇用状況届出とは
届出者・対象・根拠・期限等が異なるため、
それぞれの制度を区別して確認します。
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ここは特に注意:
「出入国在留管理庁への届出」と
「外国人雇用状況届出」は、
届出者・対象・根拠法令・期限が
同じではありません。
すべてを一律に
「14日以内」と処理しないことが重要です。
9.企業用チェックリスト|採用前から入社後まで
□ 求人前
担当業務・勤務地・雇用条件を具体化したか。
□ 選考時
在留資格と予定業務の適合性を確認したか。
□ カード確認
在留カード、就労制限、資格外活動許可、
必要な指定書等を確認したか。
□ 契約時
労働条件を本人が理解できる方法で
説明・明示したか。
□ 入社前
在留資格変更等が必要か、
実際に就労を開始できる時期を確認したか。
□ 入社時
最新の在留カードと、
実際の配属・業務を再確認したか。
□ 入社後
外国人雇用状況届出、
雇用保険・社会保険等の
必要な手続を確認したか。
□ 継続管理
在留期間満了日、業務変更、
更新・変更申請等を
継続して管理する仕組みがあるか。
10.FE-05の結論|外国人採用は「順番」が重要
外国人採用で避けたいのは、
採用そのものを先に進め、
最後になって在留資格を確認することです。
業務を決める
↓
在留資格との適合性を確認する
↓
募集・選考する
↓
労働条件を明示する
↓
必要な在留手続を行う
↓
入社時に再確認する
↓
届出・継続管理を行う
この順番を企業の標準フローにしておくことが、
外国人雇用のコンプライアンスの第一歩です。
11.公的資料・確認先
※本ページは、
2026年8月17日時点の公的情報を基に、
企業の外国人採用実務を
理解しやすく整理したものです。
個別案件では、
在留資格、雇用形態、業務内容、
本人の状況等に応じた確認が必要です。